あれは忘れもしない、小学3年の頃だった。

学校給食で出てきたサバの味噌煮を、
誤って教室の床に落としてしまったことがある。
僕が食べ物の好き嫌いの多いことを知っていた先生は、
僕が食べたくないからそれをわざと落としたと思ったらしく、
何を血迷ったか、「洗って食べなさい」 と言い放った。

無論、それはわざとではなかった。
トチ狂った先公だった。
僕のことをハナから疑ってかかったんだ。
教室はトイレを歩いた上履きで生活している場だった。
床を舐めろ、と言っているのと変わらない。
しかもよりにもよって、サバの味噌煮だ。

教室の皆が注目する中で、
僕は床からホコリまみれになったサバの味噌煮を拾い上げ、
廊下の手洗い場で洗った。
そして、水道水の味のするサバの味噌煮を、教室の皆の前でもぐもぐ食べた。
あんなにも不味いサバの味噌煮は食べたことがない。

そのいわれなき見せしめによって、僕の自尊心は崩壊したことは今も忘れない。
あの時の先生に再び会った時には―――、
目の前にサバの味噌煮を落として、水道水で洗って食わせてやる。

だから、今もサバの味噌煮を食べるとき、その時のトラウマが脳裏に蘇る。
サバの味噌煮、すごく好きだったんだけどな。

2 years ago